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2-10. 重大事故防止のためのヒヤリハット収集と活用方法

  • yutofukumoto
  • 8月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:8月22日

重大事故を未然に防止するためには、日常業務で発生する「ヒヤリハット(ヒヤリとした、ハッとした体験)」の収集と活用が極めて重要です。ヒヤリハットは一歩間違えば災害につながる事例であり、これを体系的に集め、分析し、改善につなげることで安全文化を強化できます。KYT(危険予知訓練)やリスクアセスメントと並び、実効性のある安全管理手法の一つとして注目されています。



1. ヒヤリハット収集の意義


ヒヤリハットは「事故の前兆」と位置付けられます。ハインリッヒの法則では、1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故、300件のヒヤリハットが存在するとされ、早期に兆候を把握すれば重大事故を回避できる可能性が高まります。従業員一人ひとりが経験を共有しやすい仕組みを作ることで、組織全体の安全感度が向上します。



2. ヒヤリハット収集の仕組みづくり


効果的にヒヤリハットを集めるには、現場が報告しやすい環境を整えることが不可欠です。報告様式は簡便にし、紙や専用システム、スマートフォンアプリなど複数の手段を用意すると良いでしょう。匿名報告を可能にすることで心理的ハードルを下げることも有効です。また、単なる義務ではなく「改善につながる」実感を持たせるために、報告者へのフィードバックを必ず行うことが重要です。



3. 分析と傾向把握


収集したヒヤリハットは分類・分析し、傾向を把握することが重要です。例えば「設備の不具合」「作業手順の不徹底」「保護具未着用」「職場環境の不備」などカテゴリーごとに整理し、頻度の高いものを重点的に改善します。統計的に整理することで、現場感覚では見えにくいリスクも明確化されます。



4. 改善活動への展開


分析結果を基に、設備改善、作業手順の改訂、教育訓練の強化など具体的な対策を講じます。また、改善内容を現場に共有することで、ヒヤリハット報告が「形だけ」で終わらず、実際に職場が安全になっていく実感を従業員に与えられます。これにより、さらなる報告が促進され、好循環が生まれます。



5. 教育と活用の工夫


ヒヤリハット事例は教育資料として非常に有効です。朝礼や安全ミーティングで紹介し、KYTの題材として活用することで、従業員が自らの作業に当てはめて考えるきっかけになります。また、定期的に事例集をまとめ、全員に配布することも意識向上につながります。


ヒヤリハットの収集と活用は、重大事故防止の最前線であり、従業員参加型の安全管理を実現する強力な手段です。報告→分析→改善→教育のサイクルを回し続けることで、安全文化を職場に根付かせることができます。

 
 
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