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2-14. エネルギー使用合理化法対応 ― データ収集と報告体制の構築

  • yutofukumoto
  • 8月20日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月22日

エネルギー使用合理化法(省エネ法)は、事業者に対しエネルギー消費の削減と効率化を求める法律であり、工場やオフィスビル、物流拠点など幅広い事業所に適用されます。特に「エネルギー管理指定工場」となると、エネルギー管理者の選任、定期的なエネルギー使用量の集計、国への報告が義務付けられます。法令対応を確実に行うためには、正確なデータ収集と組織的な報告体制を整備することが欠かせません。



1. エネルギー使用合理化法の基本要件


省エネ法では、年間のエネルギー使用量が原油換算1,500kL以上の事業所が「第一種エネルギー管理指定工場」とされ、詳細なエネルギー管理が求められます。また、原油換算1,500kL未満でも1,000kL以上の事業所は「第二種指定工場」となり、簡易的な管理義務があります。対象事業者は、毎年度「定期報告書」を経済産業局に提出する必要があり、未提出や虚偽報告は行政指導や罰則の対象となります。



2. データ収集の仕組み作り


正確な報告を行うためには、エネルギー使用データの収集体制が鍵となります。具体的には以下の点が重要です。


・ 電気・ガス・燃料・蒸気などを種類ごとに計測し、使用量を毎月集計する。

・ 計測装置(電力計、流量計、ガスメーターなど)の精度を定期的に点検する。

・ 複数拠点を持つ場合は、全拠点でフォーマットを統一し、データを一元管理する。

・ 自動計測システムやエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、手入力による誤差を最小化する。



3. 報告体制の構築


データを集めるだけでなく、報告に至るまでの体制整備が必要です。


・ 各部門でデータ収集担当者を明確にし、提出期限を徹底する。

・ エネルギー管理者が集計内容を確認し、異常値がないかチェックする。

・ 経営層に定期的にエネルギー使用状況を報告し、改善計画と連動させる。

・ 報告書作成時には、前年対比や単位当たりエネルギー使用量を明示し、省エネの進捗を可視化する。



4. 改善活動との連動


報告体制は単なる義務対応ではなく、省エネ活動の基盤とすることが重要です。収集したデータを分析し、ピーク電力の削減、空調設備の効率化、照明のLED化、ボイラー運転の最適化など具体的な改善施策に結び付けます。また、報告書に盛り込む改善計画と実績を定期的に検証することで、PDCAサイクルを確立できます。



5. IT活用と監査対応


近年はクラウド型省エネ管理ツールの導入が進んでおり、拠点ごとのエネルギー使用量をリアルタイムで把握できます。また、経済産業局や外部監査による調査に備え、データの保存・証跡管理も求められるため、システム活用は有効です。


エネルギー使用合理化法対応は、企業の環境コンプライアンスだけでなく、エネルギーコスト削減や脱炭素経営にも直結します。データ収集と報告体制を確実に構築することで、法令遵守と経営メリットを同時に実現できます。

 
 
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