2-15. 工場設備の安全点検と記録管理の必須項目
- yutofukumoto
- 8月20日
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更新日:8月22日
工場における設備の安全点検は、労働災害の防止と安定操業を実現するための基本です。点検を怠れば設備故障や重大事故につながり、企業の信頼低下や操業停止など大きなリスクを招きます。安全点検を確実に実施し、記録管理を徹底することは、労働安全衛生法や各種規制の遵守に加え、設備寿命の延長や保全コスト削減にもつながります。以下では、安全点検の必須項目と記録管理のポイントを整理します。
1. 安全点検の基本項目
工場設備ごとに点検内容は異なりますが、共通して確認すべき基本項目は以下の通りです。
・ 機械設備の点検:防護カバーや非常停止装置の作動確認、異音や振動の有無。
・ 電気設備の点検:絶縁抵抗測定、配線の劣化確認、漏電ブレーカーの作動試験。
・ 圧力容器・ボイラー:安全弁や圧力計の作動確認、配管の腐食や漏洩チェック。
・ クレーン・リフト:ワイヤーロープやチェーンの摩耗確認、過負荷防止装置の作動試験。
・ 換気・排気装置:吸引能力やフィルターの清掃状況、排気経路の詰まり有無。
・ 防火設備:消火器やスプリンクラーの有効期限、火災報知器の作動確認。
これらは日常点検、月次点検、年次点検と頻度を分けて計画的に実施することが重要です。
2. 点検の実施体制と責任分担
点検は「担当者任せ」にするのではなく、責任体制を明確にすることが必要です。日常点検は現場作業員が実施し、定期点検は保全担当部署や外部専門業者が行う体制が望ましいです。また、異常が発見された場合の報告フローと応急処置手順をあらかじめ定めておくことで、重大事故を未然に防止できます。
3. 記録管理の必須項目
点検結果を記録することは法令上も義務付けられており、監査や行政調査に備えて適切に保存する必要があります。記録には以下を含めることが基本です。
・ 点検実施日と点検者名
・ 点検対象設備と点検項目
・ 点検結果(正常/異常の判定)
・ 異常があった場合の内容と対応措置
・ 再点検の日時と結果
これらを紙の点検表だけでなく、デジタル管理システムに入力すれば、検索性や保存性が向上し、長期保存にも有効です。
4. 改善とフォローアップ
点検記録は蓄積するだけでなく、傾向分析に活用することが重要です。異常発生の頻度や設備ごとの故障傾向を分析することで、予防保全計画の策定に役立ちます。また、点検漏れや記録不備を防ぐために、内部監査や安全衛生委員会で定期的に確認する仕組みを組み込みましょう。
工場設備の安全点検と記録管理は、労働災害防止と法令遵守の両輪であり、企業の信頼と持続的成長を支える基盤です。必須項目を確実に実施・管理し、安全で効率的な操業環境を整えることが求められます。


