2-17. ISO14001内部監査における典型的不適合と是正のヒント
- yutofukumoto
- 8月20日
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更新日:8月22日
ISO14001は環境マネジメントシステムの国際規格であり、内部監査はその有効性を確認する重要なプロセスです。しかし多くの企業で共通して見られる「典型的不適合」が存在し、是正措置を怠ると外部審査での不適合指摘や環境パフォーマンスの低下につながります。ここではISO14001内部監査における典型的不適合の事例と、その是正のヒントを解説します。
1. 法令順守評価の不十分さ
最も多い不適合は、環境関連法令のリストが最新化されていない、または評価記録が不十分であるケースです。例えば、大気汚染防止法や廃棄物処理法の改正に追従できていないと、法令違反のリスクが高まります。是正のヒントとしては、法令改正情報を定期的に収集する仕組みを構築し、年1回以上の順守評価を必ず記録することが必要です。外部データベースや専門機関を活用すると効率的です。
2. 環境側面の特定と評価の形骸化
内部監査で多く指摘されるのが、環境側面の特定と重要度評価が過去の内容を流用している点です。新しい工程や設備変更に伴う環境影響が反映されていない場合、不適合となります。是正策としては、設備変更や新規事業導入時に必ず環境側面評価を見直すルールを設け、記録に反映することが重要です。
3. 目標管理と改善活動の不徹底
環境目標が掲げられていても、進捗管理や結果評価が不十分な場合も典型的不適合です。例えば「CO2排出量削減」目標があるものの、削減実績のデータや検証プロセスが欠けているケースです。是正のヒントは、KPIを数値化し、月次や四半期で進捗をチェックし、未達成時の改善策を明確にすることです。
4. 教育・訓練の記録不足
従業員への環境教育が実施されていても、記録が残っていないと不適合となります。特に化学物質管理や廃棄物分別など現場教育は証跡が残りにくいため注意が必要です。是正策としては、受講名簿、教材、テスト結果を保存し、監査時に提示できるよう整理することです。
5. 文書管理・記録管理の不備
最新の手順書が現場に展開されていない、旧版が残っているといった文書管理の不備も頻出します。是正のヒントは、文書管理システムを活用して最新版を一元管理し、改訂履歴を明確に残すことです。現場点検時には必ず最新版かどうかを確認します。
6. 緊急事態対応の未整備
内部監査で「緊急事態対応訓練が未実施」「シナリオが古い」と指摘されることも多いです。是正策は、毎年の訓練計画を立て、火災・化学物質漏洩・自然災害など多様なケースを想定した演習を実施することです。
ISO14001内部監査では、形だけの管理ではなく「記録」「実施」「改善」の3点を重点的に確認することが重要です。典型的不適合を把握し、是正の仕組みを持続的に回すことで、外部審査に耐えるだけでなく、真に環境パフォーマンスを向上させるマネジメントが実現できます。


