2-5. 化学物質SDS(安全データシート)管理の徹底手順
- yutofukumoto
- 8月20日
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更新日:8月22日
化学物質を取り扱う事業場において、SDS(安全データシート)の適切な管理は労働者の安全確保と法令遵守の両面で欠かせません。SDSは化学物質の有害性や取扱方法、応急措置などの情報をまとめた文書であり、労働安全衛生法や化管法に基づき交付・入手・管理が義務付けられています。しかし現場では、情報更新の遅れや周知不足により、事故や違反につながるケースも少なくありません。以下では、徹底したSDS管理のための手順を整理します。
第一に、SDSの入手と整備です。新たに化学物質を購入する際には、必ず供給者から最新のSDSを入手し、事業場に備え付ける必要があります。輸入品の場合は、日本語版のSDSを用意することが不可欠です。また、既に使用している物質についても、法改正やGHS分類の見直しに伴い内容が更新されるため、定期的に供給者へ確認し最新版に差し替える体制を整えなければなりません。
第二に、SDSの保管とアクセス性の確保です。SDSは紙媒体でも電子データでも管理できますが、現場作業者が緊急時にすぐ参照できるよう、分かりやすい場所に配置することが重要です。電子管理を行う場合も、ネットワーク障害時に備え、重要物質については紙媒体のバックアップを持つことが推奨されます。
第三に、SDS情報の周知と教育です。単に文書を備え付けるだけでは不十分であり、作業者がその内容を理解し、安全に取り扱えるように教育訓練を実施する必要があります。特に「応急措置」「保護具の種類」「保管条件」などは現場で即座に判断が求められる情報であり、定期的に確認することが求められます。
第四に、リスクアセスメントとの連動です。SDSに記載された有害性情報を基に、対象作業のリスクを評価し、適切な対策(局所排気装置、換気、保護具の使用など)を講じることが必須です。また、緊急時対応マニュアルや廃棄物処理手順とも整合させることで、安全管理の一貫性を高められます。
最後に、管理状況の点検と改善です。労働安全衛生委員会や内部監査でSDSの管理状況を定期的にチェックし、更新漏れや周知不足がないか確認することが重要です。違反事例の多くは「古いSDSを放置」「周知不足」「外部委託先への情報未伝達」に起因しており、これらを未然に防ぐためにはPDCAサイクルを回すことが求められます。
SDS管理は単なる文書保管ではなく、化学物質リスクを制御するための実務的な仕組みです。徹底した管理と教育を通じて、職場の安全性を高めることができます。


