3-10. EHS監査結果を経営層に報告する際の効果的なフレーミング
- yutofukumoto
- 2025年8月20日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年8月22日
EHS(Environment, Health, Safety:環境・労働安全衛生)監査は、企業のコンプライアンス状況やリスク管理体制を把握する重要なプロセスです。しかし、現場目線での詳細な報告は経営層にとって理解しづらく、意思決定につながらない場合があります。そのため、監査結果を経営層に報告する際には、戦略的なフレーミングが欠かせません。ここでは、経営層に効果的に伝えるためのポイントを整理します。
1. 経営層の関心領域を意識する
経営層が最も重視するのは、法令違反による罰則リスク、ブランド価値への影響、事業継続性、投資家や取引先からの評価です。現場での細かな不適合の羅列ではなく、それらが企業経営にどのような影響を与えるのかを明確に示す必要があります。たとえば、「排水基準を超過した」という事実だけでなく、「行政処分や操業停止に至る可能性」「主要顧客の取引停止リスク」といったビジネスインパクトに置き換えて説明することが効果的です。
2. 数値化と可視化で説得力を高める
経営層への報告では、データの活用が不可欠です。重大性や緊急性を「リスクマトリクス」で示したり、改善費用と潜在的損失額を比較したりすることで、意思決定の根拠を提示できます。また、グラフやチャートを用いて、不適合の傾向や改善進捗を可視化すれば、経営層も直感的に理解しやすくなります。
3. 監査結果を「経営課題」と結びつける
EHS監査の不適合事項を単なる法令違反として伝えるのではなく、人材確保やサプライチェーンリスク、ESG評価などの経営テーマと関連付けることが重要です。たとえば、労働安全衛生の不備は「人的資本経営」の信頼性低下につながり、環境不適合は「ESG投資からの除外リスク」につながります。経営層が理解する言葉で語ることが、報告を戦略的な提言へと昇華させます。
4. 優先順位と具体的提案を示す
経営層は多忙であり、全ての不適合事項を把握する時間はありません。そのため、重大性や影響度の高い事項を優先順位付けし、改善策を明確に提示することが求められます。「是正期限」「責任部署」「必要予算」といった実行可能な提案を添えることで、報告が単なる問題指摘にとどまらず、意思決定を後押しする資料となります。
5. ポジティブな成果も伝える
監査報告はネガティブな内容に偏りがちですが、改善による効果や先進的な取り組みも併せて報告することで、経営層に前向きな印象を与えられます。「災害件数が前年比20%減少」「ISO認証維持に必要な是正が完了」といった成果を伝えることで、投資や支援を得やすくなります。
まとめ
EHS監査結果を経営層に報告する際は、事実の羅列ではなく「経営リスクと機会」に翻訳して伝えることが鍵です。数値化・可視化、優先順位付け、具体的提案を通じて、EHS活動を企業価値向上のための戦略的要素として位置付けることが求められます。


