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3-13. グローバル企業に学ぶEHS経営統合モデル

  • yutofukumoto
  • 8月20日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月22日

グローバル企業では、EHS(環境・労働安全衛生)を単なる法令遵守の枠組みにとどめず、経営戦略に統合することで企業価値を高めています。サステナビリティやESG投資への注目が高まる中で、EHSを経営の中核に位置付けることは競争優位性の獲得に直結します。本記事では、グローバル企業に学ぶEHS経営統合モデルの特徴と実務への示唆を解説します。



1. 経営戦略とEHSの統合アプローチ


先進的なグローバル企業は、EHSを「コスト」ではなく「投資」として捉えています。環境負荷の削減、省エネ、廃棄物削減、安全文化の醸成を通じて、長期的なリスク低減とブランド価値向上を実現しています。EHS活動を経営計画に組み込み、トップマネジメントが明確にコミットすることが共通点です。



2. 組織横断的なマネジメントシステム


グローバル企業では、ISO14001やISO45001といった国際規格に基づき、EHSマネジメントを全社的に統合しています。各拠点でバラバラに運営するのではなく、共通の方針と目標を設定し、進捗をグローバルでモニタリングします。これにより、地域ごとの規制対応と全社的な一貫性を両立させています。



3. データ駆動型のEHS経営


統合モデルの特徴として、データ活用が挙げられます。労働災害件数、CO2排出量、廃棄物リサイクル率などをKPIとして設定し、ダッシュボードでリアルタイムに把握します。これにより、経営層はEHSパフォーマンスを定量的に評価でき、投資判断や改善活動に迅速に反映できます。



4. サプライチェーン全体への拡張


グローバル企業は、自社内だけでなくサプライヤーにもEHS基準を適用します。調達契約に環境・労働安全の要件を盛り込み、定期監査や改善指導を実施することで、サプライチェーン全体のリスクを低減しています。特に人権デューデリジェンスや気候変動対応は国際的な注目を集めており、企業評価に直結しています。



5. 社員エンゲージメントと教育


EHS経営統合の成否は、社員の理解と実践に依存します。グローバル企業では、VRを活用した安全教育や、環境課題への参加型プログラムを展開し、社員の自発的な参画を促しています。経営理念としてのサステナビリティを現場に浸透させることが、持続的な改善につながります。



6. 日本企業への示唆


日本企業にとっても、グローバルEHS経営統合モデルは参考になります。特に、データに基づく経営判断、トップマネジメントの関与、サプライチェーンを含む包括的管理は、日本の法令遵守中心のEHS活動を一段階引き上げる手法です。



まとめ


グローバル企業のEHS経営統合モデルは、法令遵守を超えて企業価値を高める仕組みです。データ駆動、組織横断的なマネジメント、サプライチェーン拡張、社員教育の徹底を通じて、EHSを戦略的資産として活用することが、今後の競争力強化につながります。

 
 
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