3-15. 人材戦略とEHS ― 安全文化醸成が離職防止につながる理由
- yutofukumoto
- 8月20日
- 読了時間: 2分
更新日:8月22日
企業における人材戦略とEHS(環境・労働安全衛生)の取り組みは、切り離して考えるべきではありません。安全文化を醸成することは、単なる労働災害防止にとどまらず、従業員のエンゲージメントや定着率に直結します。離職率の低下は採用コスト削減や生産性向上に直結するため、経営戦略上も大きな意味を持ちます。
1. 安全文化の定義と人材戦略との関係
安全文化とは、組織全体が「安全を最優先する」という価値観を共有し、それを日々の行動や意思決定に反映させる文化を指します。人材戦略においては、従業員が安心して働ける環境を整備することが、優秀な人材の確保・育成・定着につながります。安全文化が根付いている職場は、従業員の心理的安全性を高め、離職意向を減少させます。
2. 離職防止につながる具体的な理由
第一に、労働災害やヒヤリハットが頻発する職場では従業員の不安が高まり、長期的な就業意欲を損ないます。第二に、安全が軽視される企業は「社員を大切にしない会社」と認識され、モチベーションの低下や転職希望の増加を招きます。逆に、従業員の健康と安全を重視する企業は「安心して働ける会社」と評価され、離職率の低下に直結します。
3. 安全文化醸成のための施策
・ 教育・訓練の充実:定期的な安全教育、リスクアセスメント研修を通じて従業員の意識を高めます。
・ トップマネジメントの関与:経営層が安全第一を明言し、自ら現場に足を運ぶことで文化が浸透します。
・ 参加型の安全活動:従業員自身が安全改善提案やパトロールに参加することで、自主性と責任感を育てます。
・ データ活用:労災件数やヒヤリハット報告数を可視化し、改善の成果を共有することが信頼関係を強化します。
4. 離職防止と企業価値への効果
安全文化が浸透した職場は、従業員の定着率が高まり、採用・教育にかかるコストを削減できます。また、事故や不祥事が減ることで企業イメージが向上し、外部からの信頼獲得にもつながります。さらに、労働安全衛生データはESG評価や人的資本開示に直結するため、投資家からの評価も高まります。
まとめ
人材戦略とEHSは表裏一体であり、安全文化の醸成は従業員の離職防止に直結します。安心して働ける環境を整えることは、人材確保や企業価値向上の基盤であり、持続可能な経営戦略に不可欠です。


