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3-18. 投資家対話(IR)におけるEHSデータの活用方法

  • yutofukumoto
  • 2025年8月20日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年8月22日

近年、投資家との対話(IR)において、EHS(環境・労働安全衛生・健康)データの活用がますます重要になっています。従来の財務情報だけでは企業価値を十分に説明できず、非財務情報としてのEHSデータが投資判断に直結するケースが増えているためです。特にESG投資の拡大やサステナビリティ開示基準の国際整合化を背景に、企業はEHSデータを戦略的に整理・開示し、投資家に効果的に伝える必要があります。



1. 投資家が注目するEHSデータの種類


投資家が関心を持つのは、単なる環境パフォーマンス指標だけではありません。具体的には、CO2排出量、水使用量、廃棄物削減率といった環境データに加え、労働災害発生率、休業損失日数、従業員健康診断結果の活用状況なども重視されます。また、サプライチェーンにおける化学物質管理や人権デューデリジェンスの実施状況も評価対象となります。これらは企業のリスクマネジメント能力を示す重要な指標です。



2. EHSデータを投資家対話に活用するメリット


第一に、透明性の高いデータ開示は投資家からの信頼を高めます。第二に、環境・安全に関する取り組みが数値で示されることで、企業の持続可能性と中長期的な成長力をアピールできます。第三に、業界平均や競合比較を交えて説明することで、自社の優位性を客観的に示すことが可能です。結果として、投資家からの資金調達コストの低減や企業評価の向上につながります。



3. 効果的なEHSデータ活用のポイント


・ 重要指標(KPI)の特定:自社の事業特性に基づき、投資家にとって意味のあるEHS指標を選定することが重要です。

・ ストーリー性の付与:単なる数値羅列ではなく、改善の取り組みや将来目標を合わせて提示することで、経営戦略との関連性を強調できます。

・ 国際基準との整合性:GRIスタンダード、SASB基準、ISSBの開示基準に準拠することで、海外投資家にも通用する情報開示が可能となります。

・ データの可視化:グラフや図表を活用することで、複雑なデータも直感的に理解してもらいやすくなります。



4. IR活動における実務上の工夫


投資家説明会や統合報告書において、EHSデータはCSR活動の一部として扱うのではなく、経営戦略と一体化した形で示すことが求められます。例えば「CO2削減=コスト競争力向上」「労働安全=人材定着率向上」といった具体的な関連付けを行うことで、投資家にとって財務的価値に直結する情報として受け取られやすくなります。



まとめ


投資家対話におけるEHSデータの活用は、企業の透明性と信頼性を高めるとともに、中長期的な価値創造の根拠を示す強力なツールです。単なる規制対応を超え、経営戦略と結びつけた形でのデータ開示を行うことが、投資家との建設的な対話を促進し、企業価値向上につながります。

 
 
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