3-19. グローバル報告基準(GRI・SASB・ISSB)と経営戦略の接続
- yutofukumoto
- 8月20日
- 読了時間: 3分
更新日:8月22日
近年、企業のサステナビリティ情報開示において、GRI(Global Reporting Initiative)、SASB(Sustainability Accounting Standards Board)、ISSB(International Sustainability Standards Board)の国際基準が重視されています。これらは単なる情報開示の枠を超え、経営戦略と直結する要素として投資家や取引先から注目されています。企業が持続可能な成長を目指すためには、グローバル報告基準を理解し、経営戦略に組み込むことが不可欠です。
1. GRI基準と経営への影響
GRIは、持続可能性に関する包括的な報告を可能にする国際的フレームワークです。環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)全般にわたり幅広い開示を求めるため、ステークホルダーとの関係構築に有効です。企業にとっては、透明性の高い情報開示によりブランド価値向上や社会的信頼の獲得につながります。特に環境パフォーマンスや人権に関する情報は、調達先や顧客からの要求に直結するため、経営戦略に組み込む必要があります。
2. SASB基準と財務的関連性
SASBは業種ごとに重要なサステナビリティ課題を特定し、財務的影響に直結する情報開示を求めています。例えば、製造業では労働安全や温室効果ガス排出が重点項目となり、金融業ではデータセキュリティや倫理性が焦点になります。SASBを取り入れることで、企業は投資家に対し「どの非財務要素が企業価値に直結するのか」を明確に説明でき、資本市場からの評価を高めることができます。
3. ISSB基準と国際整合性
ISSBはIFRS財団の下で設立され、国際的に統一されたサステナビリティ開示基準を策定しています。特に「気候関連財務情報開示(TCFD)」の要素を取り込み、企業が気候変動リスクや機会を財務情報と結びつけて報告することを求めています。ISSB基準は今後、各国の法制度に取り込まれる動きがあり、グローバルに事業を展開する企業にとって必須の対応事項です。
4. 経営戦略との接続方法
グローバル報告基準を経営戦略に接続するには、単なるデータ開示に留まらず、以下の取り組みが重要です。
・ 重要なEHSデータを経営KPIに組み込み、経営層が意思決定に活用できるようにする。
・ 各基準で要求されるリスク・機会を整理し、中期経営計画や投資判断に反映させる。
・ 投資家説明会や統合報告書において、開示データと事業戦略の関連性を明確に示す。
・ サプライチェーン全体で基準に準拠した情報開示を推進し、リスク低減と信頼向上を実現する。
まとめ
GRIは包括性、SASBは財務的関連性、ISSBは国際的整合性を強みとする基準です。企業がこれらを経営戦略に統合することで、投資家や顧客からの信頼を獲得し、持続可能な成長につなげることが可能です。グローバル報告基準を経営に接続することは、単なる開示対応を超え、競争優位性を築く経営戦略の柱となります。


