3-20. 「EHSをコストから価値へ」転換するための経営施策
- yutofukumoto
- 2025年8月20日
- 読了時間: 2分
更新日:2025年8月22日
企業におけるEHS(Environment, Health and Safety:環境・労働安全衛生)は、長らく「法規制対応のためのコスト」として捉えられてきました。しかし、ESG投資の拡大やサステナビリティ経営の潮流を背景に、EHSを単なるコストではなく「企業価値を高める投資」として位置づける動きが加速しています。EHSを経営の付加価値へ転換するためには、戦略的な施策が不可欠です。
1. リスク低減から企業価値向上へ
EHS活動は事故や法令違反のリスク低減に直結し、結果的に訴訟や罰金、操業停止といった潜在的損失を回避します。これを「守りのコスト」としてではなく、企業価値を守り高めるための投資と捉えることが重要です。特に労働災害の防止や環境規制遵守は、レピュテーションリスクの低減につながり、長期的なブランド強化に寄与します。
2. イノベーションの源泉としてのEHS
環境負荷低減や安全性向上の取り組みは、技術革新や新しいビジネスモデルの創出につながります。たとえば、省エネルギー設備やリサイクル技術への投資は、環境規制への対応だけでなく、コスト削減や新市場開拓に直結します。また、安全な職場環境の整備は、従業員のモチベーションや生産性向上に寄与し、人的資本経営の一環として評価されます。
3. ステークホルダーからの信頼獲得
EHSデータを積極的に開示し、GRIやSASB、ISSBといった国際基準に準拠することは、投資家からの信頼を得る上で不可欠です。特にESG投資が拡大する中で、EHSへの積極投資は「持続可能な企業」としての評価を高め、資本調達コストの低減や株価の安定につながります。また、顧客やサプライヤーに対しても「責任ある企業」として選ばれる要因となります。
4. 経営施策としての具体的アプローチ
・ KPIの導入:労働災害率やCO2排出量削減など、EHS指標を経営KPIに組み込み、経営層がモニタリングできる体制を構築します。
・ インセンティブ設計:安全活動や環境改善の成果を人事評価や報酬に反映させることで、EHSを組織文化に根付かせます。
・デジタル活用:IoTやAIを活用してリアルタイムでリスクを把握し、データドリブンな意思決定を実現します。
・ サプライチェーン統合:取引先にもEHS基準を要求し、全体最適を図ることで競争優位性を強化します。
まとめ
EHSをコストから価値へと転換するためには、「規制対応の義務」ではなく「企業戦略の一部」として位置づける視点が必要です。リスク低減、技術革新、信頼獲得、人材活用といった複数の観点で経営施策を展開することで、EHSは企業の持続的成長を支える中核的要素となります。


