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3-3. サプライチェーン全体でのEHSリスク管理 ― 調達方針との統合

  • yutofukumoto
  • 2025年8月20日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年8月22日

グローバル化が進む中で、企業は自社のEHS(環境・安全・衛生)管理だけでなく、サプライチェーン全体におけるリスク管理を求められるようになっています。取引先での労働災害や環境事故が発生すれば、自社のブランド価値や事業継続に直接的な影響を及ぼすため、調達方針と統合したEHSリスク管理が不可欠です。ここでは、サプライチェーン全体でのEHSリスク管理の重要性と実務のポイントを解説します。



1. サプライチェーンにおけるEHSリスクの特徴


サプライチェーンには、多様な国や地域の取引先が関与しており、それぞれの法規制や安全文化に差があります。主なリスクは以下の通りです。


・ 法令遵守リスク:海外拠点での環境規制や労働安全基準違反。

・ 労働リスク:長時間労働、児童労働、不十分な安全設備。

・ 環境リスク:廃棄物の不適正処理、温室効果ガスの過剰排出、化学物質管理の不備。

・ レピュテーションリスク:サプライヤーでの事故や違反が報道されることで、自社の社会的評価が低下。



2. 調達方針との統合の重要性


サプライチェーン全体のEHSリスク管理は、CSR調達やサステナブル調達方針と一体的に推進する必要があります。調達方針にEHS要件を明記し、取引開始時点から遵守を求めることで、リスクを未然に防ぐことが可能です。近年はRBA行動規範や国連「ビジネスと人権指導原則」に基づき、取引先に対して人権・環境配慮を義務付ける動きが広がっています。



3. 実務におけるEHSリスク管理のステップ


・ サプライヤー選定基準の設定:環境認証取得状況(ISO14001など)、労働安全衛生体制、過去の事故履歴を確認。

・ サプライヤー監査の実施:現地訪問やアンケート調査を通じて、作業環境や法令遵守状況を確認。

・ 契約条項への組み込み:EHS基準遵守を契約条件に盛り込み、違反時の是正措置や契約解除条項を設定。

・ 教育と支援:取引先に対して安全教育や環境管理のノウハウを共有し、改善を支援。

・ モニタリングと改善:定期的な監査・評価を行い、不適合が見つかった場合は改善計画を求める。



4. ESG評価と投資家の視点


投資家やESG評価機関は、企業がサプライチェーン全体のリスクにどのように取り組んでいるかを重視しています。調達方針とEHSリスク管理を統合し、その取り組みを透明性高く開示することで、評価向上や資本調達の有利化につながります。



5. 今後の方向性


デジタル技術を活用したサプライチェーンマネジメントが進展しており、リアルタイムでのEHSデータ共有やAIによるリスク予測も可能になりつつあります。企業は調達方針にEHS管理を組み込み、持続可能で信頼性の高いサプライチェーンを構築することが求められています。


サプライチェーン全体でのEHSリスク管理は、単なるリスク回避策ではなく、調達方針と統合することで企業価値向上に直結する重要な戦略です。

 
 
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