top of page

3-4. カーボンニュートラル目標とEHS部門の役割

  • yutofukumoto
  • 8月20日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月22日

企業が2050年カーボンニュートラルを掲げる動きは世界的に加速しており、日本企業も「脱炭素経営」に取り組むことが不可欠となっています。その中でEHS(Environment, Health, Safety)部門は、単なる環境管理にとどまらず、全社的なカーボンニュートラル戦略の推進役を担うべき存在です。ここでは、カーボンニュートラル目標とEHS部門の役割について解説します。



1. カーボンニュートラルと企業経営の関係


カーボンニュートラルは、企業が排出する温室効果ガス(GHG)を削減し、残余排出をオフセットすることで実質ゼロを目指す取り組みです。これは単なる環境施策ではなく、ESG投資や取引先の調達基準にも直結する経営課題です。サプライチェーン全体の排出量(Scope1~3)を把握し、段階的に削減する仕組みを構築することが求められます。



2. EHS部門に求められる役割


EHS部門は従来の環境法令遵守や労働安全対策に加え、カーボンニュートラル推進において以下の役割を担います。


・ データ管理:エネルギー使用量や排出量データを正確に収集・管理し、第三者に説明可能な形で整備する。

・ 削減施策の企画:省エネ設備導入、再生可能エネルギーの活用、廃棄物削減などを推進。

・ 他部門連携:生産、調達、物流、人事部門と連携し、全社的にCO2削減の取り組みを浸透させる。

・ 報告と開示:統合報告書やサステナビリティレポートにおいて、進捗状況を透明性高く公表する。



3. 実務における具体的なステップ


カーボンニュートラルを実現するためのEHS部門の実務は段階的に進めることが重要です。


1. 基準年設定と現状把握:GHGプロトコルに基づき、基準年の排出量を算定。

2. 目標設定:中長期の削減目標(例:2030年までに50%削減)を明確化。

3. 施策立案:高効率設備投資、グリーン電力調達、カーボンプライシング対応などを盛り込む。

4. 進捗管理:KPIを設定し、四半期ごとに進捗をモニタリング。

5. 外部検証:第三者機関による検証を受け、信頼性を高める。



4. サプライチェーン対応


Scope3(サプライチェーン排出)は多くの企業で全体の7~8割を占めます。EHS部門は調達部門と連携し、サプライヤーに排出量報告を求めたり、共同削減プロジェクトを推進することが求められます。グローバル企業では、取引条件として再エネ比率や削減計画の提出を義務付ける事例も増えています。



5. 企業価値向上との結びつき


カーボンニュートラルは単なる環境課題ではなく、投資家や顧客からの信頼を獲得し、競争力を高める手段です。EHS部門が中心となって脱炭素のロードマップを示すことで、企業はレピュテーションリスクを回避し、持続的な成長を実現できます。


EHS部門は「守りの管理部門」から「攻めの戦略部門」へと進化し、カーボンニュートラル達成に向けた推進役となることが期待されています。

 
 
bottom of page