3-5. ESG投資時代におけるEHS情報開示と企業評価
- yutofukumoto
- 2025年8月20日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年8月22日
近年、ESG(Environment, Social, Governance)投資が世界的に拡大し、企業は環境・社会・ガバナンスに関する情報開示を通じて投資家からの信頼を獲得することが求められています。その中でも、EHS(Environment, Health, Safety:環境・安全・衛生)分野に関する情報開示は、投資家が企業の持続可能性とリスク管理能力を評価する際の重要な要素となっています。ここでは、ESG投資時代におけるEHS情報開示のポイントと、それが企業評価に与える影響を解説します。
1. EHS情報開示が求められる背景
気候変動リスク、労働安全、化学物質管理といったEHS課題は、企業の財務リスクや事業継続性に直結するため、投資家から強い関心を集めています。国際的にはGRIスタンダードやSASB基準、そしてISSBのサステナビリティ開示基準が導入され、企業に対して透明性の高い情報提供を求めています。日本でも金融庁が企業に対し、非財務情報の開示拡充を求める流れが加速しています。
2. 投資家が注目するEHS情報の内容
投資家は単なる環境データだけでなく、以下のような幅広いEHS情報を評価対象としています。
・ 環境面(E):CO2排出量、再生可能エネルギー利用率、廃棄物削減、循環型経営への取り組み。
・ 労働安全衛生(H/S):労災発生率、労働時間管理、メンタルヘルス対策、従業員教育体制。
・ リスクマネジメント:事故発生時の対応体制、監査結果、不適合是正の実施状況。
これらのデータは、企業がどの程度持続可能性を重視し、リスクを管理できているかを示す客観的な指標となります。
3. EHS情報開示の実務ポイント
・ 国際基準への準拠:GRIやSASB、TCFDなどのフレームワークを活用し、投資家が比較可能な形式で開示することが重要です。
・ 定量データと定性情報の両立:CO2排出量や労災件数などの数値だけでなく、方針や改善計画も明確に示す必要があります。
・ 外部検証の導入:第三者機関による保証を受けることで、データの信頼性を高めることができます。
・ ストーリー性のある開示:単なる数値報告にとどまらず、自社のサステナビリティ戦略の中でEHS活動がどのような位置付けにあるかを示すことが有効です。
4. EHS情報開示と企業評価の関係
適切なEHS情報開示は、投資家からの評価を高め、資本調達の有利化や株価の安定につながります。逆に、労災事故や環境法令違反などを隠蔽すると、レピュテーションリスクが拡大し、投資家離れや株価下落を招く恐れがあります。特にESG投資を重視する機関投資家は、情報開示の透明性を重視するため、積極的な開示が競争力を左右します。
5. 今後の展望
今後はISSB基準の導入によって、グローバルで統一された非財務情報開示が進みます。企業は単に規制対応として開示するのではなく、EHS活動を経営戦略と結びつけ、企業価値向上につなげることが求められます。
ESG投資時代において、EHS情報開示は「義務」ではなく「競争力の源泉」といえます。透明性と信頼性を兼ね備えた情報発信が、持続的な成長と投資家からの評価向上につながります。


