4-11. 南米における鉱山開発とEHS課題 ― 環境破壊と労働災害リスク
- yutofukumoto
- 2025年8月20日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年8月22日
南米における鉱山開発は、豊富な鉱物資源を背景に世界的に注目されています。特にリチウム、銅、金などの資源は、再生可能エネルギーや電気自動車市場の拡大に伴い需要が急増しています。しかし、鉱山開発に伴う環境影響や労働安全衛生(EHS)課題は深刻化しており、企業は国際的な規制や社会的要請に応える必要に迫られています。
1. 環境破壊の実態
南米の鉱山開発では、大規模な森林伐採や水資源の過剰利用が問題となっています。特にリチウム採掘は塩湖の水資源を大量に消費するため、地域の水不足を引き起こし、生態系や住民生活に深刻な影響を及ぼしています。また、金や銅の採掘では有害廃棄物や重金属汚染が発生し、河川や土壌への長期的なダメージが懸念されています。これらは国際社会からの批判の対象となり、企業の評判や取引機会にも直結します。
2. 労働災害リスク
南米の鉱山労働現場では、労働災害が依然として多発しています。坑内崩落、爆発、粉じん吸入によるじん肺などの職業病が代表的なリスクです。安全設備の不備や教育訓練の不足が背景にあり、ILO(国際労働機関)の基準に満たない状況が一部地域で続いています。特に中小規模の鉱山や非公式セクターでは労働者保護が十分でなく、企業はサプライチェーン全体での安全確保を問われることになります。
3. EHS規制と国際基準の影響
チリやペルーなど主要鉱山国では環境規制や労働法の強化が進められていますが、執行力不足や汚職により実効性が課題とされています。一方で、国際市場ではISO14001(環境マネジメント)やISO45001(労働安全衛生マネジメント)の導入が取引条件となるケースが増えています。また、EUや米国企業はESG調達方針に基づき、南米からの鉱物調達に際してEHS基準を厳格に適用する動きを強めています。
4. 企業が取るべき対応策
企業は南米での鉱山開発において、環境負荷低減と労働安全確保を両立させる取り組みを進める必要があります。具体的には、
・ 水資源利用の効率化やリサイクル技術の導入
・ 廃棄物処理・重金属管理の徹底
・ 労働者への安全教育と防護具の配布強化
・ 現地コミュニティとの対話による合意形成
・ 国際基準に基づく第三者認証の取得
などが挙げられます。
5. 今後の展望
持続可能な資源開発が求められる中で、南米鉱山は国際的な注視を受け続けると考えられます。企業がEHS課題を軽視すれば、規制違反や訴訟リスク、さらには投資家や顧客からの信頼低下につながります。一方で、積極的にEHS対策を講じる企業は、持続可能な開発のモデルケースとして評価され、長期的な競争優位を築くことができます。
まとめ
南米における鉱山開発は経済的な魅力が大きい一方で、環境破壊と労働災害という深刻な課題を抱えています。企業は国際基準と地域の規制を踏まえ、EHSマネジメントを強化することが、持続的な事業運営と社会的信頼の確立に不可欠です。


