4-16. EU化学物質規制(REACH)の最新改正と輸出企業の注意点
- yutofukumoto
- 2025年8月20日
- 読了時間: 2分
更新日:2025年8月22日
EUのREACH規制(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)は、世界で最も包括的かつ厳格な化学物質規制の一つであり、輸出企業にとって遵守は避けて通れない課題です。2025年にかけて進む最新改正では、有害化学物質に対する制限強化や登録要件の厳格化が焦点となっており、日本企業を含む輸出事業者は対応を急ぐ必要があります。ここでは、改正のポイントと企業が注意すべき点を整理します。
1. 最新改正の概要
REACHは既存の化学物質を含め、EU域内で年間1トン以上製造・輸入される物質について登録を義務付けています。最新改正では、特に高懸念物質(SVHC)のリスト追加が進み、PFAS(有機フッ素化合物)や内分泌かく乱物質が対象に含まれる傾向が強まっています。また、登録データの精緻化が求められ、試験方法や毒性評価の科学的根拠の強化が義務付けられています。
2. サプライチェーン管理の重要性
日本企業がEUに製品を輸出する際、自社で化学物質を直接製造していなくても、含有する部品や原材料にSVHCが含まれている場合は義務の対象になります。特に「SCIPデータベース」への情報提供が義務化されており、サプライチェーン全体で化学物質情報を収集・共有する体制を整えることが必須です。取引先との契約においても、化学物質情報開示の条項を明確にすることが推奨されます。
3. 日本企業が直面する課題
・ 情報不足:中小企業を中心に、海外の法改正動向を迅速に把握できず、対応が遅れるケースが多いです。
・ コスト負担:登録・試験にかかる費用が高額であり、特に複数の化学物質を扱う企業では大きな負担になります。
・ 人的リソース不足:専門知識を持つ人材が限られており、法務・品質保証部門とEHS部門の連携が不十分なケースが見られます。
4. 対応の実務ポイント
・ 法改正情報を常にモニタリングし、SVHCリストの更新に即応できる体制を構築すること。
・ 製品含有化学物質を把握するため、サプライチェーンからSDS(安全データシート)や成分証明を確実に収集すること。
・ EU域内の「Only Representative(OR)」を活用し、登録や当局との対応を円滑に進めること。
・ EHSマネジメントシステムに組み込み、ISO14001やISO45001と連動させることで、継続的改善を実現すること。
5. まとめ
REACH改正は、単なる法令遵守にとどまらず、グローバル市場での競争力や信頼性を左右する要素です。輸出企業は、最新の改正動向を把握し、サプライチェーン全体を巻き込んだ情報管理体制を整えることが求められます。今後の国際的な化学物質規制強化を見据え、EHS対応を経営戦略の一部として位置付けることが、持続的成長の鍵となります。


