4-2. 欧州グリーンディールと企業のEHS対応戦略
- yutofukumoto
- 2025年8月20日
- 読了時間: 2分
更新日:2025年8月22日
欧州連合(EU)が掲げる「欧州グリーンディール」は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにし、持続可能な社会を実現することを目的とした包括的政策です。この取り組みは気候変動対策にとどまらず、産業構造の転換、資源循環、環境保護、人権・労働の尊重など広範囲にわたり、企業のEHS(環境・労働安全衛生)対応に大きな影響を与えています。日本企業も欧州市場に参入する場合や、欧州企業と取引する場合には、この政策を踏まえた戦略的対応が必須です。
1. 欧州グリーンディールの主要施策
グリーンディールの柱には「気候法」に基づくカーボンニュートラルの義務化、「循環型経済行動計画」による資源効率化、「ゼロ汚染行動計画」による大気・水質・土壌汚染の削減があります。さらに、建築物の省エネ化促進、サステナブルファイナンス規制、企業に対する情報開示義務の強化なども含まれます。これらは、製造業からエネルギー、物流に至るまで幅広い分野のEHS活動に直結します。
2. EHS観点からの影響
EHS担当者にとって注目すべきは、化学物質規制の強化(REACH規則改定)、廃棄物削減、再生資源利用の義務化、労働者の健康被害防止などです。たとえば、環境負荷の高い製品設計や化学物質の不適切な管理は、欧州での販売禁止や罰則につながります。また、労働安全衛生の観点からも、サプライチェーン全体での人権デューデリジェンスや安全な労働環境の確保が求められています。
3. 日本企業が直面する課題
欧州向け輸出を行う日本企業は、製品ライフサイクル全体でのCO2排出量やリサイクル対応を明示する必要があります。さらに、非財務情報開示(CSRD:企業サステナビリティ報告指令)への対応も迫られており、EHSデータの収集・開示が国際競争力を左右します。グリーンディールは取引先にも適用されるため、日本企業も「間接規制」の影響を受けることになります。
4. 戦略的対応策
・ 脱炭素化計画の策定:再生可能エネルギーの導入、省エネ設備投資、カーボンフットプリントの開示。
・ 製品設計の見直し:リサイクル可能素材の活用や有害物質代替の推進。
・ 情報開示体制の強化:GRIやSASB、ISSB基準に準拠した統合報告書の整備。
・ サプライチェーン管理:協力会社も含めたEHS基準遵守の仕組みを構築。
まとめ
欧州グリーンディールは、単なる規制対応ではなく、企業の競争優位性を左右する経営課題です。EHS対応を「コスト」ではなく「投資」と捉え、脱炭素・循環経済・労働安全衛生を統合的に推進することで、企業は欧州市場での持続的成長とグローバル競争力の確立を実現できます。


