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4-6. グローバルサプライチェーンにおける人権デューデリジェンス義務化の流れ

  • yutofukumoto
  • 2025年8月20日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年8月22日

近年、グローバルサプライチェーンにおける人権デューデリジェンス(Human Rights Due Diligence: HRDD)の義務化が国際的に加速しています。企業は環境・労働安全衛生(EHS)だけでなく、人権尊重を経営戦略に組み込み、ステークホルダーからの信頼を確保することが求められています。従来はCSRや自主的取り組みの一環として進められてきましたが、現在は法的義務として各国で制度化が進んでいる点が大きな変化です。



1. 国際的な規制動向


欧州連合(EU)では、2022年に「企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)」が提案され、域内外の大企業に対して人権・環境への影響を特定・防止・是正する義務が課されようとしています。ドイツではすでに「サプライチェーン・デューデリジェンス法(LkSG)」が2023年から施行され、従業員数3,000人以上の企業に具体的な人権デューデリジェンス義務が課されています。また、フランスの「警戒義務法」、オランダの「児童労働禁止法」など、EU各国でも独自の規制が進んでいます。



2. 日本企業への影響


日本企業も輸出やサプライチェーンを通じて、欧州や米国の規制の影響を受ける可能性が高いです。特に欧州の大手取引先とビジネスを行う場合、人権デューデリジェンスの実施状況を報告することが取引条件化されるケースが増えています。政府も「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定し、企業に自主的な取り組みを促していますが、今後は法制化が進む可能性も指摘されています。



3. 実務上の対応ポイント


・ リスクアセスメントの実施:児童労働、強制労働、過酷な労働環境、差別といったリスクをサプライチェーン全体で評価します。

・ 方針策定と開示:人権方針を明文化し、ステークホルダーに開示することで透明性を確保します。

・ モニタリング体制の構築:現地監査やサプライヤーとの契約に人権条項を盛り込み、遵守状況を定期的に確認します。

・ 是正措置と救済メカニズム:違反が発覚した場合の是正プロセスや、労働者が声を上げられる仕組みを整えることが重要です。



4. EHSとの接点


人権デューデリジェンスは労働安全衛生や環境問題とも密接に関連しています。過酷な労働条件や有害物質への曝露は人権侵害に直結するため、EHS部門と人権対応部門の連携が不可欠です。



まとめ


グローバルサプライチェーンにおける人権デューデリジェンスは、今後さらに法的義務として広がっていく流れにあります。日本企業は早期に体制を整備し、透明性の高い報告と実効性ある取り組みを行うことで、規制リスクを回避しつつ、国際市場での信頼を強化することが求められます。

 
 
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