top of page

4-7. 国際労働機関(ILO)条約批准状況と多国籍企業の責任

  • yutofukumoto
  • 2025年8月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:2025年8月22日

国際労働機関(ILO)は、労働者の基本的権利と労働条件の改善を目的として数多くの条約を採択してきました。特に「労働における基本的原則と権利に関するILO宣言」では、結社の自由、強制労働の禁止、児童労働の廃止、差別の撤廃といった国際的に認められた労働基準を重視しています。多国籍企業は、自国や進出先の批准状況を理解し、国際的基準に沿った労働環境を整備する責任を負っています。



1. ILO条約の批准状況の現状


ILO条約は190本以上採択されていますが、批准率は国ごとに大きく異なります。特に「結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第87号)」や「団結権及び団体交渉権に関する条約(第98号)」など、労働組合の権利に関する基本条約は批准状況が国際的評価の指標とされています。日本は主要な8つの中核的条約のうち、すでに多くを批准していますが、未批准のものもあり、国際社会からの要請は続いています。



2. 多国籍企業に求められる責任


多国籍企業は、自国だけでなく進出先の労働基準を確認し、ILO基準に準拠した労働環境を確保することが求められます。特に新興国や開発途上国では、労働基準の法整備や運用が不十分な場合があり、児童労働や長時間労働、労働安全衛生の不備といった問題が発生しやすい状況です。そのため企業自身が自主的にILO条約の精神を尊重し、グローバルポリシーとして導入することが必要です。



3. 実務対応のポイント


・ 労働方針の明文化:ILO条約に基づく人権・労働方針を策定し、全拠点で共有します。

・ サプライチェーン監査:協力会社や下請け企業も含めて労働環境を監査し、不適合があれば是正指導を行います。

・ 教育・啓発活動:現地労働者や管理職に対してILO条約の基本的理念を周知し、現場レベルでの意識を高めます。

・ 透明性ある情報開示:労働基準の遵守状況をCSRレポートやサステナビリティ報告書で公開し、投資家や消費者に説明責任を果たします。



4. EHSとの関連性


ILO条約は人権や労働条件だけでなく、安全で健康的な職場環境を保証する点でEHSマネジメントと密接に関係しています。労働安全衛生に関する条約の批准や実践は、企業のリスク低減とブランド価値向上にもつながります。



まとめ


国際労働機関(ILO)条約の批准状況は、各国の労働環境を測る指標であり、多国籍企業はこれを超える責任を持って労働者保護に取り組む必要があります。国際基準を先取りして対応することは、法規制リスクを回避するだけでなく、持続可能な経営を実現し、投資家・消費者からの信頼を獲得する有効な手段となります。

 
 
bottom of page