5-14. 排出量モニタリングにおける衛星データの活用可能性
- yutofukumoto
- 2025年8月20日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年8月22日
近年、気候変動対策や環境規制対応の一環として、温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を正確に把握することが企業に求められています。その中で注目されているのが、衛星データを活用した排出量モニタリングです。従来は工場や発電所の排出量を測定機器や報告ベースで把握していましたが、衛星データの利用により、より広範囲かつ高精度な監視が可能になりつつあります。
1. 衛星データ活用の仕組み
衛星に搭載されたセンサーは、二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)、窒素酸化物(NOx)などの温室効果ガスや大気汚染物質を観測できます。特に高分解能の衛星では、数キロ単位での排出源特定が可能であり、特定の工場や地域の排出状況を可視化することができます。さらに、衛星は地球全体を網羅的にカバーするため、従来の局所的な測定では把握できなかったグローバルな排出状況の比較やトレンド分析が可能です。
2. 企業における活用メリット
企業が衛星データを活用するメリットは多岐にわたります。第一に、サプライチェーン全体の排出量を把握しやすくなる点です。特に海外拠点や委託先工場の排出管理は従来難しかった領域ですが、衛星データにより透明性が高まります。第二に、規制当局や投資家への説明責任を果たす上で、独立したデータソースを活用することで信頼性の高い報告が可能になります。第三に、自社の排出削減施策の効果を定量的に評価でき、改善サイクルを迅速に回せる点が挙げられます。
3. 排出量モニタリングの実務的課題
一方で、衛星データ活用には課題も存在します。解像度の限界により、小規模な排出源を特定するのは難しい場合があります。また、気象条件や大気の状態によって観測精度が影響を受けるため、地上測定データと組み合わせたハイブリッド分析が求められます。さらに、膨大なデータを処理・解析するには専門的な知識やシステム基盤が必要となり、社内リソースの整備も不可欠です。
4. 今後の展望と企業戦略
国際的には、欧州宇宙機関(ESA)のSentinel衛星やNASAのOCO-2など、多くの衛星が温室効果ガス観測に活用されています。今後は民間企業による高解像度衛星の打ち上げも進み、より詳細なデータが利用可能になると見込まれます。企業にとっては、こうした衛星データを早期に取り入れ、社内のEHS管理やサステナビリティ報告に組み込むことが競争優位につながります。特に、ESG評価やカーボンニュートラル目標の達成に向けて、衛星データを用いた排出量モニタリングは不可欠な要素となるでしょう。
まとめ
衛星データによる排出量モニタリングは、環境規制対応や企業の透明性確保において有効な手段です。課題はあるものの、地上データとの組み合わせにより高精度な排出管理が可能となり、企業の脱炭素戦略を強力に支援します。今後、サステナビリティ経営を推進する上で、衛星データの活用はますます重要な役割を果たすと考えられます。


