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5-15. EHSダッシュボードの設計と経営層へのリアルタイム報告

  • yutofukumoto
  • 8月20日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月22日

EHS(Environment, Health, Safety)マネジメントにおいて、データを見える化し、経営層に迅速かつ正確に報告する仕組みは企業価値向上に直結します。そのための有効なツールが「EHSダッシュボード」です。環境データ、労働安全、健康管理に関する情報を統合的に可視化することで、経営判断をサポートし、リスク低減やコンプライアンス遵守を強化できます。以下では、EHSダッシュボード設計のポイントと、経営層へのリアルタイム報告における実務的な留意点を解説します。



1. EHSダッシュボードに必要な主要指標(KPI)


労働災害発生率(LTIFR)、ヒヤリハット件数、CO₂排出量、エネルギー使用量、廃棄物リサイクル率、健康診断結果の有所見率など、EHS活動を定量的に把握できる指標を選定することが重要です。また、ISO45001やISO14001といった国際規格に基づく指標を取り入れることで、グローバル基準に沿った経営管理が可能になります。指標は「事故ゼロ」「排出削減率」など企業の中長期目標に直結する形で設定することが望ましいです。



2. ダッシュボード設計の実務ポイント


経営層が一目で把握できるように、グラフやチャートを用いた直感的なデザインが必要です。色分けによるリスクレベルの可視化や、ドリルダウン機能を活用することで現場レベルまで詳細分析が可能になります。また、IoTセンサーやクラウド型EHS管理システムと連携させることで、データを自動収集・更新し、手作業による集計負担を削減できます。特にグローバル拠点を持つ企業では、多言語対応や地域別比較機能も重要です。



3. 経営層へのリアルタイム報告体制


経営層に対しては、単なるデータ提示ではなく「経営への影響」を明確に示すことが求められます。例えば、「労働災害件数の増加が生産性に与える影響」「CO₂削減が投資家評価につながる効果」など、リスクと機会を経営視点で解釈して報告することが重要です。さらに、モバイルデバイスからアクセス可能なダッシュボードを整備することで、経営層が出張先やリモート環境でもリアルタイムに状況を把握でき、迅速な意思決定につながります。



4. 実装時の課題と改善策


課題としては、データの正確性確保、システム導入コスト、社内での活用定着が挙げられます。これに対しては、現場担当者への教育や入力ルールの統一、AIによる異常値検出機能の活用などが有効です。また、ダッシュボードを経営会議や取締役会で定常的に活用する仕組みを構築することで、EHS活動が経営に直結する文化を醸成できます。



まとめ


EHSダッシュボードは、環境・労働安全・健康データを統合し、経営層にリアルタイムで提供する強力なツールです。適切なKPI選定と直感的なデザイン、データ精度の確保を徹底することで、企業のEHSマネジメントは大きく進化します。サステナビリティ経営の基盤として、ダッシュボードを戦略的に活用することが今後ますます重要になるでしょう。

 
 
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