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6-20. 「ヒヤリハット報告ゼロ」が示す安全文化欠如の実例

  • yutofukumoto
  • 2025年8月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:2025年8月22日

企業におけるEHS(環境・労働安全衛生・健康)管理の中で、ヒヤリハットの報告は重大事故を未然に防ぐための重要な仕組みです。しかし一部の企業では、「ヒヤリハット報告ゼロ」を安全性の高さと誤って評価し、実際には安全文化が根付いていないことを示すケースがあります。ヒヤリハットは小さな異常や潜在リスクのサインであり、その共有がなければ大きな事故につながる可能性が高まります。本記事では、ヒヤリハット報告ゼロが示す問題点と教訓を考察します。



1. ヒヤリハット報告ゼロの背景にある組織風土


ある製造業では、数年間にわたりヒヤリハット報告件数がゼロでした。経営層はこれを「現場の安全意識が高い証拠」と捉えていましたが、実際には従業員が報告をためらう雰囲気がありました。報告すると「注意不足」と叱責される、評価に悪影響があるといった心理的圧力が働き、現場では「報告しない方が得」という文化が形成されていたのです。結果的に小さな不安全行動や異常が放置され、重大災害につながるリスクが高まっていました。



2. 数字に表れないリスクの隠蔽


ヒヤリハットが報告されない場合、管理側は「問題がない」と誤解し、改善施策を講じません。その結果、同じ不安全行動が繰り返され、ある工場では設備トラブルが放置された末に火災事故が発生しました。報告ゼロは「安全」ではなく「情報が隠されている」ことを示す警鐘であるといえます。



3. 安全文化欠如の実例


建設業界の事例では、現場監督が「ヒヤリハットを報告すると納期に影響する」と考え、意図的に報告を抑制しました。結果、現場では同じ作業手順の不備が繰り返され、最終的に墜落災害が発生しました。このケースでは、報告制度が形骸化し、安全文化の未成熟さが事故の背景要因となりました。



4. 報告を促進するための改善策


ヒヤリハット報告を活性化させるには以下の施策が有効です。


・ 報告件数を「安全文化の健全性を示す指標」として評価する。

・ 報告に対して懲罰ではなく感謝と改善に結びつける仕組みを整える。

・ 匿名報告や簡易アプリなど、気軽に報告できる手段を導入する。

・ 経営層が率先して報告を歓迎し、安全文化を組織全体に浸透させる。



まとめ


「ヒヤリハット報告ゼロ」は、決して事故リスクがないことを意味しません。むしろ、現場に潜むリスクが見過ごされている可能性を示す危険信号です。企業は報告を恐れずにできる風土を醸成し、未然防止の仕組みを強化することが不可欠です。ヒヤリハットの積極的な共有こそが、真に強固な安全文化の基盤となります。

 
 
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