7-17. 危険予知訓練(KYT)の実践ノウハウと現場定着の工夫
- yutofukumoto
- 8月20日
- 読了時間: 2分
更新日:8月22日
危険予知訓練(KYT)は、現場で潜在的に存在するリスクを事前に発見し、事故や災害を未然に防ぐための重要な手法です。EHS(環境・健康・安全)活動の中核を担う取り組みであり、製造業や建設業だけでなく、多様な業種に広がっています。しかし、形骸化した取り組みにならないためには、実践ノウハウと現場への定着の工夫が不可欠です。
まず、KYTの基本ステップは「状況把握」「危険要因の抽出」「対策立案」「実行と振り返り」に分かれます。単なる危険の洗い出しではなく、実際の作業現場や写真、イラストを題材とし、参加者全員でディスカッションを行うことが効果的です。現場のリアルな場面を想定することで、具体的で実行可能な安全対策を導き出すことができます。
実践のポイントとしては、①参加者全員が主体的に発言する環境づくり、②「なぜ危険か」を深掘りする思考訓練、③対策の優先順位づけが挙げられます。特に、若手や経験の浅い従業員が意見を出しやすい雰囲気をつくることは、安全文化の浸透に直結します。管理監督者はファシリテーターとして議論を導き、結論を押し付けるのではなく自発的な気づきを引き出す姿勢が重要です。
また、KYTを現場に定着させるには継続性がカギとなります。定例ミーティングや朝礼で短時間のKYTを組み込み、日常業務の一部として習慣化することが効果的です。さらに、優れた提案や気づきを表彰する制度を設けることで、モチベーション向上にもつながります。
近年ではデジタル技術を取り入れたKYTも普及しています。タブレット端末で危険箇所を可視化したり、AI解析によるリスク予測を活用することで、従来の手法を補完し、効率的な危険予知が可能となります。グローバル企業においては、多言語対応のKYT教材を用い、異文化環境でも安全意識を共有する工夫が求められます。
総じて、危険予知訓練を成功させるには「形式ではなく実効性」「一過性ではなく定着」が重要です。現場での実践と継続的改善を組み合わせることで、KYTは事故防止の強力なツールとなり、安全文化の醸成に大きく貢献します。


