8-1. サステナビリティ経営におけるEHSの役割再定義
- yutofukumoto
- 8月20日
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更新日:8月22日
サステナビリティ経営が企業の成長戦略の中心に据えられる中で、EHS(環境・健康・安全)の役割は従来の法令遵守やリスク回避から大きく進化しています。かつてのEHS活動は、労働災害の防止や環境規制対応といった守りの取り組みに重点が置かれていました。しかし現在では、企業の持続的成長や社会的評価の向上に直結する攻めの経営要素として再定義されつつあります。
第一に、環境面におけるEHSの役割は、脱炭素経営や循環型社会の実現に不可欠なものとなっています。排出量削減や資源効率化は投資家や顧客からの評価にも直結し、ESG投資の判断基準としても重要性を増しています。企業が長期的に競争力を維持するためには、EHS部門がカーボンニュートラル戦略や再生可能エネルギー導入を主導する必要があります。
第二に、健康・安全の領域では、従業員のウェルビーイングを重視する取り組みが広がっています。労働災害防止はもちろん、メンタルヘルス対策や多様な働き方への対応も企業の持続性を支える基盤です。EHSは職場環境改善を通じて生産性向上や人材定着に貢献し、人材戦略の中核に位置づけられるようになっています。
第三に、グローバル展開を進める企業にとって、サプライチェーン全体のEHS対応も極めて重要です。人権デューデリジェンスや環境負荷削減をサプライヤーまで徹底することは、企業ブランドの維持に直結します。国際的な規制強化や投資家の要請を受けて、EHSは単なる内部管理にとどまらず、バリューチェーン全体の持続可能性を確保する役割を担っています。
さらに、デジタル技術の活用によってEHSの役割は進化しています。AIやIoTを用いたリスク予測、リアルタイム監視システムによる事故防止、ビッグデータ分析を通じた改善施策の立案など、EHSは経営における意思決定を支えるデータドリブンな機能を果たすようになっています。
サステナビリティ経営においてEHSは、単なる規制対応の枠を超え、企業価値を高めるための戦略的基盤となります。環境課題の解決、人材の健康と安全の確保、そしてグローバルな社会的責任の遂行を通じて、EHSは企業の持続的成長を支える中核的役割を果たしているのです。


