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8-12. スコープ3排出量管理におけるEHSの役割

  • yutofukumoto
  • 8月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:8月22日



スコープ3排出量管理は、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出を対象とする取り組みであり、企業の脱炭素経営において重要な課題となっています。スコープ3は自社の直接排出や購入電力に伴う排出(スコープ1・2)と異なり、原材料の調達から物流、使用段階、廃棄処理までを含むため、その管理は複雑かつ広範囲です。その中で、EHS(環境・健康・安全)はスコープ3管理を実効性あるものにするための重要な役割を担います。


まず、EHS部門は環境データの収集・管理に強みを持ち、サプライチェーン各段階における排出量の把握に貢献します。特に原材料調達や製造工程における環境負荷の測定・報告は、既存のEHS体制を活用することで効率的かつ正確に行うことが可能です。また、労働安全衛生の観点からも、環境負荷削減と作業安全の両立を考慮することで、サプライヤーへの要求事項を包括的に設定できます。


次に、スコープ3削減の実行段階においてもEHSが果たす役割は大きいです。物流の効率化や廃棄物削減、省エネルギー設備の導入など、EHS部門が従来から担ってきた改善施策が、スコープ3排出量削減と直結します。また、化学物質管理や廃棄物処理の適正化といったEHS業務は、間接的にスコープ3の削減効果をもたらす領域でもあります。


さらに、サプライチェーン監査において、EHS視点を組み込むことは極めて有効です。環境データの正確性だけでなく、労働環境や安全文化も含めて評価することで、単なる排出量管理にとどまらず、持続可能なサプライチェーンの構築につながります。国際的には、CDPやSBTiのような開示フレームワークが企業にスコープ3対応を求めており、EHS部門の関与は投資家や規制当局からの信頼獲得にも直結します。


総じて、スコープ3排出量管理におけるEHSの役割は、データ収集の基盤整備、削減施策の実行支援、サプライヤー監査の強化という3つの側面で極めて重要です。企業が脱炭素経営を推進し、国際競争力を高めるためには、EHS部門を中心に据えた統合的な排出量管理体制の構築が不可欠です。


 
 
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