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8-16. 将来の労働環境とEHS ― テレワーク普及後の課題

  • yutofukumoto
  • 8月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:8月21日



テレワークの普及は、働き方改革やパンデミック対応を契機に急速に広がり、将来の労働環境を大きく変化させています。その一方で、EHS(環境・健康・安全)の観点からは新たな課題が浮き彫りとなっており、企業は従来の職場を前提としたマネジメントを見直す必要に迫られています。


まず、安全面では、自宅やサードプレイスでの業務環境が標準化されていないため、長時間労働や不適切な作業姿勢による健康被害が懸念されます。特に腰痛や眼精疲労、メンタルヘルス不調はテレワーク特有のリスクとして顕著です。EHS部門は、在宅勤務用のエルゴノミクス指針やセルフチェックリストを整備し、従業員のセルフマネジメントを支援することが重要です。


次に、健康面では、孤独感やストレスの増加がメンタルヘルスに深刻な影響を与える可能性があります。対面でのコミュニケーション不足は、チームワークの低下や不調の早期発見の遅れを招きやすく、EHS部門による定期的なオンライン面談やウェルビーイング施策の導入が求められます。


環境面では、オフィスのエネルギー使用が減る一方で、自宅での電力消費やICT機器の利用が増加し、カーボンフットプリントに新たな構造的変化が生じています。企業は、従業員の在宅勤務に伴う環境負荷もスコープ3排出量として把握し、脱炭素経営の一環としてモニタリングや削減策を検討する必要があります。


さらに、労働安全衛生法や労災保険制度など、既存の法制度はオフィスや工場を前提に設計されているため、テレワークの普及に合わせた制度的整備や企業側の補完策が不可欠です。EHS担当者は規制動向を注視しつつ、企業独自のルールづくりや従業員教育を強化することが求められます。


総じて、テレワークの普及は柔軟な働き方を実現する一方で、EHSの課題を複雑化させています。将来の労働環境においては、健康管理、心理的安全性、環境負荷低減、法的対応を包括的に考慮した新しいEHS戦略の構築が、企業の持続的成長と従業員の幸福度向上の両立に不可欠です。

 
 
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