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1-7. ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)認証取得の流れと落とし穴

  • yutofukumoto
  • 2025年8月19日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年8月22日

ISO45001は、国際標準化機構(ISO)が策定した労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)の国際規格であり、労働災害や健康被害を予防し、安全で健全な職場環境を構築することを目的としています。従来のOHSAS18001を発展的に置き換える形で2018年に発行され、グローバル企業を中心に導入が進んでいます。認証を取得することは、法令遵守の枠を超え、企業の信頼性やESG評価の向上にも直結します。ここでは、認証取得の流れと注意すべき落とし穴を解説します。


認証取得の流れは大きく5段階に整理できます。第一に、現状把握とギャップ分析です。既存の安全衛生管理体制がISO45001の要求事項をどの程度満たしているかを調査し、不足点を洗い出します。多くの企業では法令遵守はできていても、リスクアセスメントの仕組みや労働者参加のプロセスが不十分であることが明らかになります。


第二に、方針策定と計画立案です。経営層がコミットメントを表明し、安全衛生方針を定めたうえで、リスク低減のための目標や行動計画を策定します。この段階で、トップマネジメントが積極的に関与することが認証成功の鍵となります。ISO45001では経営層のリーダーシップが明確に求められており、形式的な承認にとどまると後の審査で指摘を受けやすくなります。


第三に、システム構築と運用です。危険源の特定、リスクアセスメントの実施、是正措置や予防措置の仕組みづくりを行います。また、労働者が意見を述べ、改善に関与できる仕組みを組み込むことが重要です。ここでは教育訓練の実施や記録の整備が欠かせず、従業員が理解し実行できるレベルまで落とし込むことが必要です。


第四に、内部監査とマネジメントレビューです。内部監査を通じてシステムの有効性を点検し、是正措置を講じたうえで、経営層がマネジメントレビューを実施します。ここで実効性ある改善がなされていないと、外部審査で「形骸化」と指摘されるリスクがあります。


第五に、外部審査と認証取得です。認証機関による文書審査(ステージ1)と現場審査(ステージ2)を経て、適合が確認されれば認証が付与されます。取得後も定期サーベイランス審査や更新審査があり、継続的な改善が求められます。


一方、認証取得にはいくつかの落とし穴があります。まず「文書作成に偏る」ことです。マニュアルや手順書を整備しても、現場で運用されなければ意味がありません。次に「経営層の関与不足」です。ISO45001はトップのリーダーシップを重視しており、現場任せでは認証の維持が困難です。また「労働者参加の軽視」も大きな問題です。委員会や意見交換の仕組みが形だけのものになっていると、審査で不適合と判定される可能性があります。


まとめると、ISO45001認証取得は単なる制度対応ではなく、企業文化に安全衛生を根付かせるプロセスです。流れを理解して準備を進めるとともに、文書中心主義や形骸化に陥らないよう注意することが、真に有効なマネジメントシステム構築につながります。

 
 
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