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1-1. 労働安全衛生法2025年改正ポイントと企業が取るべき対策

  • yutofukumoto
  • 2025年8月19日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年8月22日

2025年の労働安全衛生法改正は、従業員の安全確保と健康管理をより一層強化する内容となっており、企業の対応が急務となっています。今回の改正では、働き方の多様化や新たなリスク要因を踏まえた規制が導入され、従来の枠組みでは十分にカバーできなかった領域への対応が求められています。ここでは主要な改正ポイントと、企業が取るべき実務上の対策を解説します。


第一の改正ポイントは、メンタルヘルス対策の強化です。近年、長時間労働やパワーハラスメントに起因するメンタル不調が社会問題化しています。2025年改正では、事業者に対してストレスチェック制度の実効性を高める義務が課され、単なる調査にとどまらず、結果を基にした職場環境改善計画の策定と実行が求められます。さらに、産業医や外部専門家との連携を通じて、従業員のメンタルヘルスを継続的にフォローする体制構築が必須となります。


第二の改正点は、化学物質管理の規制強化です。特定化学物質のリスクアセスメントが義務化され、事業者はSDS(安全データシート)の整備・更新、ならびにリスク低減措置の実施を徹底する必要があります。特に中小規模の製造業にとっては、専門知識不足やリソース制約が課題となりやすく、外部専門家の支援を受けながら対応することが現実的な選択肢となるでしょう。


第三の改正点として、労災防止のためのデジタル技術活用が推進されます。ウェアラブル端末やIoTセンサーによるリアルタイムの危険予知、AIを用いた労災リスク分析が、厚生労働省のガイドラインに沿って推奨されます。これに伴い、従来の紙ベースや点検表頼みの安全管理から、データドリブンな管理手法への移行が進むことになります。企業にとっては、監査対応や取引先への説明責任を果たすうえでも、デジタル証跡を残すことが重要となります。


最後に、今回の改正は「義務化」と「努力義務化」が混在している点に注意が必要です。たとえば、メンタルヘルス対応は実質的に義務化されつつあり、未対応が労災認定や訴訟リスクに直結します。一方で、デジタル技術活用は当面努力義務にとどまりますが、取引先や投資家からの評価を意識すれば早期対応が望まれます。


企業が取るべき対策としては、まず①改正内容の理解とギャップ分析、②経営層のコミットメント確保、③社内教育と訓練の実施、④必要に応じた外部専門家との協業、の4ステップが基本となります。特にグローバル企業の場合、日本独自の改正内容を海外本社に報告し、方針に反映させることも重要です。


2025年改正は単なる規制強化ではなく、企業の持続可能な成長と安全文化の定着を後押しする契機でもあります。受け身の対応にとどまらず、戦略的な労働安全衛生マネジメントの一環として取り組むことが、企業価値を高める最良の方法といえるでしょう。

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