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1-16. 水効率マネジメント規格「ISO46001」の概要と実務活用

  • yutofukumoto
  • 2025年8月19日
  • 読了時間: 3分

更新日:2025年8月22日

ISO46001は、2019年に発行された国際規格であり、水資源の持続可能な利用を目的とした「水効率マネジメントシステム」に関する要求事項を定めています。近年、気候変動や人口増加、工業化の進展に伴い水資源の逼迫が世界的な課題となっており、企業や自治体が水使用の効率化と責任ある管理を行う必要性が高まっています。ISO46001はISO9001(品質)やISO14001(環境)と整合性を持ち、PDCAサイクルに基づいて組織の水使用効率を継続的に改善する枠組みを提供します。


規格の中心的な要素は、水使用に関する基準値(Baseline)とパフォーマンス指標(Water Performance Indicators: WPIs)の設定です。組織はまず自らの事業活動における水使用量、排水量、再利用量などを把握し、基準年を定めます。その上で、使用効率を改善するための具体的目標を設定し、進捗を定量的にモニタリングすることが求められます。たとえば、製造業であれば製品単位あたりの水使用量をKPIとして設定し、一定期間ごとに改善効果を評価することが想定されます。


また、ISO46001は単なる水使用削減にとどまらず、リスクベースのアプローチを重視しています。水資源の供給リスク(干ばつや規制強化)、水質リスク(排水基準や周辺環境への影響)、ステークホルダーからの社会的評価などを考慮し、長期的な水マネジメント戦略を策定することが必要です。特にサプライチェーン全体における水利用の把握は、グローバル企業にとって競争力維持の観点からも不可欠です。


実務活用の第一歩は、現状把握とデータ収集体制の整備です。工場や事業所ごとに水メーターを設置し、使用用途別(製造工程、冷却、清掃など)に分けてデータを収集・分析することで、改善余地を明確化できます。その後、節水型設備の導入、冷却水や排水の再利用、雨水の活用など具体的な改善策を実施します。これらの活動はエネルギー削減やコスト低減にも直結するため、経営層の理解を得やすい点もメリットです。


さらに、ISO46001は他のマネジメント規格との統合運用が可能です。例えば、ISO14001と組み合わせれば環境負荷低減の包括的管理が実現し、ISO50001(エネルギーマネジメント)と連携すれば水とエネルギーの効率最適化を同時に図ることができます。統合マネジメントシステムとして導入すれば、内部監査やマネジメントレビューを一元化でき、運用コストの削減にもつながります。


認証取得のプロセスは、①方針策定と体制構築、②基準値設定と指標策定、③改善計画の実施、④内部監査とレビュー、⑤外部審査という流れです。特に外部審査ではデータの信頼性や改善の実効性が厳しく問われるため、文書化と記録管理を徹底する必要があります。


結論として、ISO46001は単なる節水規格ではなく、持続可能な経営戦略の一環としての「水効率マネジメント」を体系的に推進するツールです。水資源の制約が顕在化する中、日本企業にとっても国際競争力を維持するための重要な規格であり、早期導入と積極的活用が求められます。

 
 
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